§全体像: AIに渡す「4つの仕組み」
Claude Codeには、あなたのことをAIに覚えさせる仕組みが4つあります。
役割はこう覚えてください。
| 仕組み | 喩え | 一言でいうと | いつ読まれるか |
|---|---|---|---|
| CLAUDE.md | 憲法 | 自分が誰で、AIにどう振る舞ってほしいか | 毎回必ず |
| rules | 法律 | テーマ別の細かいルール集 | 毎回必ず |
| skills | 業務マニュアル(技マシン) | 特定の仕事のやり方・手順書 | その仕事の時だけ |
| hooks | 自動スイッチ | 決まったタイミングで勝手に動く仕掛け | AIすら介さず自動 |
ポイントは「いつ読まれるか」の違いです。憲法と法律は毎回全部読まれるので、
書きすぎると毎回のやり取りが重くなります。だから 「毎回必要なことだけ憲法・法律に、
たまにしか使わない手順はマニュアル(skills)に」 分けます。これがDay2で話した
「コンテキストエンジニアリング」の実践です。
§1. CLAUDE.md(憲法)
§何を書くか
「どの仕事でも変わらない、自分の前提」だけを書きます。
- 自分の所属・職種・担当業務(例: IT企業のプロジェクトマネージャー)
- 顧客・商材・社内でよく使う略語
- 回答してほしいスタイル(日本語で結論から、専門用語には補足を、など)
- やらないでほしいこと(既存ファイルを消さない、顧客名を書き出さない、など)
§どこに置くか(Day2で実際に事故った最重要ポイント)
- グローバル:
ホームフォルダ/.claude/CLAUDE.md… PC全体で毎回読まれる - プロジェクト用: 各プロジェクトフォルダ直下の
CLAUDE.md… そのフォルダで起動した時だけ追加で読まれる - ⚠️ Obsidianの保管庫の中に置くだけでは「グローバル」にはなりません。保管庫フォルダでClaude Codeを起動した時だけ読まれる「プロジェクト用」になります。どの場所から起動しても効かせたい内容は、必ず
.claude/CLAUDE.md(グローバル)に置いてください - 開き方が分からなければ、Claude Codeに「グローバルのCLAUDE.mdを開いて」と言えば開けます。
/memoryと打つ方法もあります
§分量の目安
100〜200行が理想です。それを超えて太ってきたら、次のrulesとskillsに逃がします。
§育て方
- 会話の先頭に
#を付けて送ると、その内容をCLAUDE.mdに記憶として追記できます - 「さっきの方針、CLAUDE.mdに追記しておいて」と頼むだけでもOK。自分で書かずAIに書かせるのが基本です
§CLAUDE.mdはどう読まれているか(公式仕様・2026年8月確認)
- Claude Codeは毎回まっさらな状態でセッションを始めます。前回を覚えているように見えるのは、CLAUDE.mdが毎セッション自動で読み込まれるのと、自動メモリ(Auto memory)——Claudeが気づいたことを自分でメモして次回に持ち越す仕組み(既定でオン)——の2つのおかげです。
/memoryでどちらも確認できます - 起動フォルダより上の階層のCLAUDE.mdは起動時に全部読まれ、下(サブフォルダ)のCLAUDE.mdはそのフォルダのファイルを触った時に初めて読まれます
- 会話が長くなって圧縮(compact)が走ると、プロジェクト直下のCLAUDE.mdとrules・自動メモリは読み直されて復活しますが、サブフォルダのCLAUDE.mdは復活しません。「長い作業の後半で急に作法を守らなくなった」ときの典型的な原因です。ずっと守らせたいことは一番上の階層に書いてください
- いま実際に何が読み込まれているかは
/contextの「Memory files」欄で確認できます。指示が効かないときの自己診断はここからです
§2. rules(法律)
§何のためにあるか
CLAUDE.mdが太ってきた時の引っ越し先です。テーマごとにファイルを分けます。.claude/rules/ フォルダに置いた .md ファイルは、CLAUDE.mdと同じように毎回自動で読まれます。
§分け方の例(講師の実物・19ファイルから抜粋)
rules/git.md… バージョン管理のルール(自動でバックアップを取る、など)rules/security.md… パスワードを平文で書かない、消してはいけないものrules/user-profile.md… 自分のプロフィール詳細と、AIが過去に誤解した事例集rules/obsidian.md… 第二の脳(Obsidian)の運用ルール
§CLAUDE.mdとの使い分け
迷ったらこう考えてください:
- CLAUDE.mdに残す: 全テーマに効く短い大原則(10行で書けるもの)
- rulesに出す: 1テーマで10行を超えたもの(そのテーマの専用ファイルにする)
§作り方
「gitのルールが増えてきたから rules/git.md に切り出して」とClaudeに頼むだけです。
§rulesが太ってきたら(肥大化の対処)
rulesは毎回全部読まれるため、太ると「動作が重くなる+1つ1つの指示が薄まる」の二重コストがかかります。
対処は削除ではなく移動です。逃がし先は3つ:
- 毎回効いているルール → rulesに残す(git運用・セキュリティ・口調など)
- 特定の作業のときだけ要るルール → 参照庫に移す。
rules-libなど自動で読まれない普通のフォルダを作って詳細をそこへ置き、CLAUDE.mdには「◯◯の作業をする時は rules-lib/◯◯.md を読むこと」という発動条件の1行だけを残します。中身ではなく目次を常時ロードする、という節約です - 「ルール」ではなく「手順」だったもの → skillsに変換する。肥大化の多くは「〜する時の手順」がrulesに紛れ込むのが原因です。手順は必要時だけ読まれるskillsが正しい置き場所です
分量の目安:
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| rulesの1ファイル | 100行前後(1ファイル=1テーマ。150行を超えたら要点だけ残して詳細を参照庫へ) |
| 常時ロード合計(CLAUDE.md+rules全部) | まず500行以内。運用が育っても2,000行程度を上限の意識に |
そして一番実用的なのは、月1回Claude Code自身に棚卸しさせることです:
「今読み込んでいるrulesの中で、(1)最近の作業で一度も効いていないもの (2)内容が重複しているもの (3)ルールではなく手順になっているもの を挙げて」
AIは自分が何を読まされているか知っているので、この検査が一番正確です。
効いていないルールは「間違い」ではなく「参照庫行きの候補」として移します。
§補足: 公式機能で「必要時だけ読む」を作る方法(2026年8月確認)
- CLAUDE.mdには
@docs/◯◯.mdと書いて他ファイルを読み込ませる機能がありますが、公式ドキュメントに「整理には役立つがコンテキストの節約にはならない」と明記されています(起動時に全部読み込まれるため)。分割=軽量化ではない点に注意してください - 本当に「必要時だけ読む」を作りたいときは、
.claude/rules/のファイルの先頭にpaths:を書きます。指定したファイルを触ったときだけ読み込まれる公式の仕組みです:
---
paths:
- "src/api/**/*.ts"
---
# API開発ルール
- すべてのエンドポイントで入力チェックを行う
- 指示どおり動かないときに疑う順番も公式に示されています。第一が「ファイルが長すぎてルールが埋もれている」、次が「曖昧な書き方」「ファイル間の矛盾」(矛盾するとClaudeはどちらかを勝手に選びます)。書き足す前に、まず削るが正解です
- 公式の推奨分量は1ファイル200行未満(長くても全文読まれますが、短いほど守られます)。モデルが新しくなったタイミングは棚卸しの好機です——旧モデルの弱点を補うために書いた指示は、もう不要になっていることがあります
- どうしても毎回必ず実行させたいことは、CLAUDE.mdやrules(=お願い)ではなくhooks(=自動スイッチ・強制)に置きます
§3. skills(業務マニュアル/技マシン)
§何のためにあるか
「週次レポートを作る」「議事録からヒアリングシートを作る」のような、
特定の仕事の手順書です。憲法・法律との最大の違いは読まれ方で、
普段AIは「スキルの一覧(タイトルと1行説明)」だけを見ており、
該当する依頼が来た瞬間に中身を開きます。だから何十個持っていても重くなりません。
ポケモンの技マシンと同じです。持っているだけでは発動せず、その技が必要な場面で繰り出します。
§スキル化の目安
同じ手順を2回やったらスキル化を検討してください。Day2で出た実例:
- 議事録を渡す → ヒアリングシートの型に整形して保存(毎回同じプロンプトを打っていた作業)
- これをスキルにすれば「◯◯社の議事録、シート化して」の一言で終わります
§作り方と呼び出し方
- 作る: 一度うまくいった作業の直後に「今の一連の手順をスキル化して」と頼む
- 呼ぶ: スラッシュコマンドを覚える必要はありません。「レポート作って」のような普通の日本語で、AIが該当スキルを自分で選びます
§4. hooks(自動スイッチ)※上級・まずは知るだけでOK
§何のためにあるか
上の3つは「AIが読むもの」ですが、hooksは決まったタイミングで自動実行される仕掛けです。
AIの判断を経由せず、必ず・毎回・勝手に動きます。
§例(講師の実運用)
- セッションが終わるたびに、その日の作業記録をObsidianのデイリーノートへ自動保存
- 会話が長くなって要約される直前に、引き継ぎメモを自動生成
「AIに頼むのを忘れても実行される」のがhooksの価値です。第二の脳が「自動で貯まる」のはこの仕組みのおかげです。
§注意
設定ファイル(settings.json)を触る上級機能なので、最初の1ヶ月は不要です。
「毎回必ずやってほしいことができた」時に、「◯◯を毎回自動でやるhookを設定して」とAIに頼んでください。
§育てる順序(結論)
- Week 1: CLAUDE.mdだけ書く(自分が誰か・話し方の好み。10行からでOK)
- Week 2〜: skillsを増やす(同じ作業を2回やったらスキル化)
- CLAUDE.mdが100行を超えたら: rulesに分割
- 毎回必ずやりたいことができたら: hooksで自動化
§よくある間違い(Day2の実例から)
- ❌ CLAUDE.mdをObsidianの保管庫内にだけ置く → グローバルには効きません(上記1参照)
- ❌ 最初から全部自動化する → 読み返さない記録が溜まるだけ。手動→半自動→自動の順で
- ❌ CLAUDE.mdに何でも書いて500行 → 指示が薄まります。rulesとskillsに逃がす
- ❌ ファイル名を
claude.md(小文字)にする → 環境によって読まれません。必ずCLAUDE.md
§動作確認の方法
設定したら、ファイル名を言わずにこう聞いてください:
「私について知っていることを3つ挙げて」
自分の書いた内容が返ってくれば、毎回自動で読み込まれています。
月に1回は「Aプロジェクトについて教えて」と抜き打ち検査をして、認識がズレていたら直します。
さらに詳しく: ミチガエルAI講座 実践テキスト 第2章「CLAUDE.md・rules・スキルの三層設計」
https://www.michi-gaeru.net/materials/textbook/ch02.html