結論(即答): Obsidian と Claude Code で何ができるか
Claude Code に Vault を読ませると、過去の判断や事業の文脈を踏まえて作業できます。
Obsidian のノートは、パソコンの中にある普通の Markdown ファイルです。Claude Code はファイルを読み書きできるので、特別な接続がなくても Vault を扱えます。
2つの道具の役割は、次の2つです。
- Obsidian 側の利点: 自分のメモが手元のファイルとして残り、人が読み返しやすい
- Claude Code 側の利点: そのファイルを読んで、探す・まとめる・書き足すまでを代わりにこなす
当社では次の3つを自動で回しています。
- 作業の記録を、応答のたびに日次ノートへ書き込む
- 前日の記録と受信箱から、毎朝5時に技術wikiを生成する
- 設計の判断やデプロイ結果を、プロジェクトのノートに残す
AI に毎回自己紹介をし直す手間が減りました。「前にどう決めたか」を AI 自身がノートから探せます。
ただ、仕組みが止まったのに誰も気づかなかった日もあります。
Obsidian でやる理由(Notion・普通のテキストエディタとの違い)
AI に読ませるメモを貯める場所として、Obsidian は「手元のファイル」と「人の読みやすさ」を両方満たします。
| 比べる点 | Obsidian | Notion | 普通のテキストエディタ |
|---|---|---|---|
| データの置き場所 | 自分のパソコン上の Markdown ファイル | Notion のクラウド | 自分のパソコン上のファイル |
| Claude Code からの読みやすさ | そのまま読める | 連携の設定が要る | そのまま読める |
| ノート同士のリンク | [[ノート名]] で張れる。逆向きのリンクも見える |
ページのリンクはある | 基本はない |
| スマホ | 公式アプリがある。同期は別に用意する | 公式アプリで同期される | アプリ次第 |
| 機能の追加 | コミュニティプラグインが豊富 | 公式の連携が中心 | エディタ次第 |
| 複数人での同時編集 | 得意ではない | 得意 | 得意ではない |
Claude Code はフォルダをそのまま読めるので、変換の手間がかかりません。
テキストエディタでもファイルは読めます。Obsidian を選ぶ理由は、リンクと逆リンクで人が読み返しやすい点です。AI が書いたノートを、人が後から確かめやすくなります。
Notion と併用するか、置き換えるか
判断の目安は「誰が書き、誰が読むか」です。
- 自分ひとりで考える・学ぶ・判断を残すメモ → Obsidian
- チームで同時に編集する表や、社外と共有するページ → Notion
- 両方ある → 併用する。同じ内容を二重に書かず、片方からリンクを張る
当社では併用しています。社外と共有する整えた版は Notion、判断の履歴や技術メモは Obsidian です。
始め方: インストールから Vault で起動するまで
手順は4つです。ターミナル(文字で指示を打つ画面)を1回開ければ進められます。
1. 動く環境とプランを確かめる
Claude Code の公式ドキュメントでは、対応 OS は次のとおりです(2026年9月26日確認)。
- macOS 13.0 以上
- Windows 10 1809 以上(WSL でも動く)
- Ubuntu 20.04 以上、Debian 10 以上など
使うには Pro、Max、Team、Enterprise のいずれかか、Console(API)のアカウントが要ります。claude.ai の無料プランには Claude Code が含まれません。
2. Claude Code を入れる
公式が勧める入れ方は、macOS・Linux なら次の1行です。
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
Windows では PowerShell で次の1行を使います。
irm https://claude.ai/install.ps1 | iex
入ったら claude --version で番号が出るか確かめます。
3. Vault のフォルダで起動する
Vault のフォルダに移動してから claude と打ちます。初回はブラウザでログインを求められます。
cd ~/Documents/あなたのVault名
claude
起動したフォルダの中が、Claude Code の作業範囲になります。ここでノートの読み書きができます。
4. CLAUDE.md を置く
Vault の一番上に CLAUDE.md を置きます。起動のたびに読まれるルールブックです。Claude Code の中で /init と打つと、下書きを作らせることもできます。
当社は少し違う使い方をしています。ふだんは各プロジェクトのフォルダで Claude Code を起動し、Vault は場所を指定して読み書きする形です。
Vault の場所と使い方は、全プロジェクト共通の CLAUDE.md に書いています。
作業フォルダの外にある Vault を触らせる方法もあります。起動時に --add-dir で Vault の場所を足します。
つなぐ方法は4つ
最初はファイルの直接読み書きで足ります。ほかの3つは、必要になってから足せば間に合います。
| 方法 | 前提 | 向く用途 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 直接読み書き | Vault のフォルダにアクセスできること | 日々の記録・検索・ノート作成 | Obsidian 独自の書き方(リンク・プロパティ)を壊しやすい |
| 公式 CLI | installer 1.12.7 以上。設定→一般で有効化 | アプリの機能を使う操作(検索・日次ノート追記など) | アプリの起動が前提 |
| Obsidian Headless | Node.js 22 以上。公式のオープンベータ | デスクトップアプリのない環境での同期 | Sync の利用が前提 |
| MCP | コミュニティ製の Local REST API プラグインなど | 他のアプリから Vault を操作したいとき | 4.1.2 以下に脆弱性(公式のセキュリティ勧告 GHSA-62gx-5q78-wrvx。4.1.3 で修正)。4.1.3 以上で使う |
公式ヘルプによると、アプリが閉じていても、公式 CLI の最初のコマンドでアプリが起動します。ただし当社は、無人で動く定時実行を直接の読み書きに寄せています。人が見ていない時間に、アプリの起動待ちで止まるのを避けたいからです。
Obsidian 本体には AI 機能も公式の MCP もありません。AI との連携は、利用者が自分で組む部分です。
MCP を使う場合は、プロジェクトのフォルダに .mcp.json を置きます。Claude Code の公式ドキュメントにある最小の形は次のとおりです。
{
"mcpServers": {
"server-name": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@example/mcp-server"]
}
}
}
server-name と中身は、使う MCP サーバーの説明に合わせて書き換えます。初めて使うときは、Claude Code が使ってよいか確認してきます。
Obsidian の中から使うプラグイン
ターミナルを開かずに、Obsidian の画面の中から Claude Code を使うプラグインもあります。代表的な3つを、各プラグインの GitHub の説明をもとに比べました(2026年9月26日確認)。
| プラグイン | 入れ方 | できること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Claudian | コミュニティプラグイン(公式の一覧から入れられる) | サイドバーで AI と会話する。選んだ文章をその場で直す。Codex など他の AI にも切り替えられる | デスクトップ版のみ。Obsidian 1.13.0 以上。プラグイン本体が大きい |
| Claude Code IDE | コミュニティプラグイン | 開いているノートや選んだ文章を、ターミナルの Claude Code に伝える | 読み書き自体はしない。Claude Code 側で /ide を実行して接続する。デスクトップのみ |
| Claude Sidebar | コミュニティプラグイン(手動でも入れられる) | サイドバーにターミナルを開き、Claude Code を動かす | Python 3 が要る。Windows は追加の準備が要る |
3つとも、公式の審査をまだ受けていないことが一覧に表示されます。入れるかどうかは、各自で内容を確かめて決めてください。
Claudian は当社でも一度入れましたが、ほかの2つは試しておらず、3つとも日々の作業には使っていません。ターミナルの Claude Code で足りているため、どれかを勧めることもしません。
最初に設定する3つ
自己紹介ファイル、CLAUDE.md、obsidian-skills の3つを入れると、AI の出力が安定します。
1. 自己紹介ファイル 名前、仕事、役割、好みの進め方を1枚に書きます。最初の下書きは AI に作らせて、自分で直すと早く終わります。
2. CLAUDE.md Claude Code が毎回読むルールブックです。ここには「どのフォルダに何があるか」の案内と、守ってほしい決まりだけを書きます。長くすると毎回の読み込みが重くなり、出力がぶれます。
当社の CLAUDE.md には、Vault の場所と、情報の種類ごとの置き場所の表への案内を載せています。細かい決まりは別のファイルに分け、必要な作業のときだけ読ませます。
当社の CLAUDE.md から、Vault に関わる部分を抜き出しました。場所の一部は伏せ字にし、言い回しを短くしています。
■ 参照ライブラリ(該当作業の前に読む)
| Obsidian Vault に書く・置き場所を決める | obsidian.md |
■ Obsidian の3層構造
- 層1(セッション記録)と層2(技術wiki、毎朝5時)は全自動
- Claude Code は技術ドキュメントのフォルダに直接書かない
- 層3のみ Claude Code の仕事: 設計判断・デプロイ結果・フェーズ進行を書く
■ 認証情報の場所
- ID・パスワード・APIキーは Vault の
02_プロジェクト/{番号}_{名前}/01_運用/環境変数一覧.md に集約する
- CLAUDE.md やルールのファイルに平文で書かない
- Vault の場所: /Users/●●●/Documents/●●●/
Vault の一番上のフォルダは、次のように分けています(一部を省略)。
Vault/
├── 00_受信箱/ … 毎朝の取り込みの対象
├── Clippings/ … Web から切り抜いた記事
├── 01_01_デイリーノート/ … 日次ノート。年ごとのフォルダに入れる
├── 01_02_ウィークリーノート/
├── 01_03_マンスリーノート/
├── 02_プロジェクト/ … 事業・案件ごと。INDEX.md と判断の記録
├── 04_技術ドキュメント/ … 毎朝自動で生成する技術wiki
├── 05_会議記録/
├── 06_読書ノート/
├── 07_アーカイブ/ … 終わったものはすべてここへ
├── 07_テンプレート/
├── 09_ヒストリー/ … 会社と事業の歴史
└── 100_機密/ … バックアップの対象から外す
3. obsidian-skills Obsidian の CEO が個人で公開している、AI 向けのスキル集です。スター数は 48,870、ライセンスは MIT。出典は GitHub の kepano/obsidian-skills(2026年9月26日時点)です。
Markdown、Bases、Canvas、公式 CLI などの正しい書き方を AI に教えます。Claude Code なら次の2行で入ります。
/plugin marketplace add kepano/obsidian-skills
/plugin install obsidian@obsidian-skills
このスキル集は、書き方を教えるためのものです。入れただけで何かが自動で整理されるわけではありません。当社でも書き方の参照にだけ使い、Vault の運用ルールは自分たちで決めています。
毎日・毎週の使い方と頼み方の例
頼み方は短くて大丈夫です。どのノートを読めばよいかは、CLAUDE.md に書いた置き場所の表から AI が探します。
実際に社内で使っている頼み方を、場面ごとに並べます。
| 場面 | 頼み方の例 | AI がやること |
|---|---|---|
| 朝のタスク整理 | 「おはよう。今日やることを整理して」 | 前日の日次ノートから残りのタスクを集め、優先順位を付けて今日のノートの先頭に書く |
| 会議メモの整形 | 「この文字起こしを議事録にして、宿題を抜き出して」 | 決まったこと・次の宿題・担当を分けて、案件のフォルダに保存する |
| 人や案件のブリーフィング | 「次の面談の前に、この方の過去の記録を要点だけまとめて」 | 過去のセッション記録を読み、前回の宿題と今回話すことを並べる |
| 週のふり返り | 「今週の日次ノートから、進んだことと止まっていることをまとめて」 | 7日分の日次ノートを読み、案件ごとに進捗と止まっている理由を出す |
| 判断を残す | 「さっき決めたことを、判断の記録に残して」 | 決めたこと・理由・選ばなかった案・見直す日をプロジェクトのノートに書く |
| 読んだ記事の保存 | 「これ解説して」+投稿の URL | 中身を読んで解説し、当社に当てはめた要点と一緒に Tips ノートとして保存する |
| リンクとタグの付与 | 「このノートに、関係するノートへのリンクとタグを足して」 | Vault を検索して関係するノートを探し、[[ノート名]] とタグを書き足す |
朝の整理と週のふり返りは、日次ノートが自動でたまっているから成り立ちます。記録が空だと、AI は一般論しか返せません。
リンクとタグは、AI に付けさせたあと人が見直します。毎週月曜の点検で、リンク切れや重複も一覧になります。
当社の3層構成
記録・wiki生成・判断を別々の層に分けると、誰がどこに書くかで迷わなくなります。
| 層 | いつ | 何をする | 書き手 |
|---|---|---|---|
| 層1 自動記録 | 応答のたび | 作業内容を日次ノートへ書き込む | hook(自動) |
| 層2 wiki生成 | 毎朝5時 | 前日分と受信箱から技術wikiを生成する | 定時実行(自動) |
| 層3 判断の記録 | 大きな作業の後 | 設計判断・デプロイ結果を残す | Claude Code |
層1: 自動記録 Claude Code が応答を終えるたびに hook が動き、その日の日次ノートを更新します。1セッションを1ブロックにまとめ、目印のコメントで区切る形です。要約はファイルが3件以上変わったときなどに作り直すので、毎回の負荷は小さく済みます。
複数のセッションが同時に書き込むこともあります。書き込み中は目印のファイルを置き、ほかの書き込みを待たせて衝突を防いでいます。
層2: 毎朝のwiki生成 毎朝5時に前日分の日次ノートと受信箱を処理します。受信箱の素材は3段階で振り分け、手順や数値がある素材だけをテーマ別のwikiにまとめます。
月曜だけは、リンク切れや重複を一覧にする点検も動きます。修正は自動でせず、人が見てから直す運用です。処理済みのファイルと日付は別の記録に残し、同じ素材の二度処理を防いでいます。
以前は夜22時に動かしていました。ところが夜の作業が取りこぼされたので、2026年7月5日に翌朝5時へ移しました。日付が確定した前日分をまとめて処理するためです。
層3: 判断の記録 3ファイル以上の変更やデプロイの後に、Claude Code がプロジェクトのノートへ書きます。決めたこと、理由、選ばなかった案、影響の4つです。数か月後に「なぜこうしたのか」を追えるように残しています。
このほか、X の投稿を「これ解説して」と渡すと、解説を Tips ノートとして自動保存しています。2026年9月26日時点で454件たまりました。
その他の定時処理 深夜1時台には、会議の記録の取り込みと、前日ノートを人が読みやすく整える処理も動きます。Vault に書き込む仕組みは、3層のほかにもあります。
人が読むノートと AI の記憶を分ける理由
人と AI では読みやすい形が違います。当社は置き場所を情報の種類で決めています。
人は読み返しやすさやリンクのつながりを重視します。AI はファイルの場所、短い要約、今も有効かどうかを重視します。何でも Vault に入れて毎回読ませると、古い情報や別案件の話が入り込み、答えがずれました。
| 情報の種類 | 置き場所 |
|---|---|
| その日にやったこと | 日次ノート(層1が自動で書く) |
| 設計判断・フェーズの進行 | プロジェクトのフォルダ(層3) |
| 技術の知見 | 技術wiki(層2が自動で書く) |
| AI の行動ルール・好み | AI 側の記憶ファイル。Vault には書かない |
| 一時的な引き継ぎ | 引き継ぎ用のファイル |
| パスワードや API キー | プロジェクト内の専用ノート。バックアップ対象から外す |
迷ったときは、次の作業で AI が使うか、人が後で読み返す記録か、技術として再利用する知識かの3点で決めます。
AI が作るノートには、冒頭に共通のプロパティを付けます。
record_type: decision
project: 事業名
status: active
created: 2026-09-26
updated: 2026-09-26
tags: [...]
プロパティの status は英語の小文字だけにしています。日本語で書くと、Bases の絞り込みが効かなくなったためです。
重要な判断には、前提、見直す条件、見直す日も書きます。見直す日を過ぎると、週1回の点検で通知が届きます。
既存のノートはまとめて直しません。触ったノートから順に揃えています。
秘密情報を読ませない設定
Claude Code が読んだ内容は、AI の処理のために Anthropic へ送られます。読ませたくないものは、読めない設定にしておきます。
送られる範囲 公式ドキュメントによると、送られるのは指示の文と AI の出力で、通信は暗号化されます。AI が開いたファイルの中身も、この送信に含まれます。Vault 全体を毎回まとめて送る仕組みではありません。
学習への利用は、プランで扱いが違います。
Pro・Max では、設定をオンにしたときだけ学習に使われます。Team・Enterprise・API では、原則として学習に使われません。出典は公式ドキュメントの「Data usage」です(2026年9月26日確認)。
読めないようにする設定
公式ドキュメントに .claudeignore という仕組みの記載はありません。代わりに、設定ファイルの permissions.deny で読み取りを禁止します。
{
"permissions": {
"deny": [
"Read(./100_機密/**)",
"Read(./**/環境変数一覧.md)"
]
}
}
この設定は、Claude Code の読み取り機能と、cat などのよく使うコマンドに効きます。ただし、別のプログラムが自分でファイルを開く場合までは止められません。すべての読み取りを OS の側で止めたい場合は、公式のサンドボックス機能を使います。
設定ファイルの置き場所は2つあります。その Vault だけに効かせるなら .claude/settings.json です。全体に効かせるなら ~/.claude/settings.json に置きます。
当社の置き場所とバックアップ パスワードや API キーは、各プロジェクトの「環境変数一覧」という1つのノートに集めています。CLAUDE.md やルールのファイルには平文で書きません。
機密フォルダと「環境変数一覧」は、GitHub へのバックアップの対象から外しています。この2つの控えは、Mac 本体のバックアップ(Time Machine)だけに残る形です。
スマホ・複数 PC・バックアップ
当社の Vault は1台の Mac に置き、毎晩 GitHub へバックアップしています。スマホとの同期は、今はしていません。
当社のバックアップ 毎日23時30分に、Vault の変更を GitHub の非公開リポジトリへ自動で送ります。失敗したときは通知が届きます。最後の送信が2日以上前なら異常とみなします。
git の履歴が残るので、AI がノートを壊しても前の状態に戻せます。この点は、AI に書かせる Vault では特に効きます。
スマホで見る・複数の PC で使う選択肢 一般に、次のような方法があります。当社はどれも使っていないので、選択肢として挙げるだけにとどめます。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| Obsidian Sync(有料の公式同期) | スマホ・PC 間で同期できる。端から端まで暗号化される |
| iCloud Drive などのクラウドドライブ | Apple の端末どうしなら手軽 |
| git で同期 | 変更の履歴が残る。スマホでは扱いにくい |
同期を入れる前に、機密フォルダがどこまで届くかを確かめておくと安心です。
スマホから Vault を直接開く運用は、していません。外出中は、チャットで Mac 側の AI に頼む形にしています。Vault の管理を1か所にまとめるためです。
失敗から学んだこと
自動化は、止まっても誰も気づかないのがいちばん怖い点でした。
1. 取り込みが7日間止まっていた 2026年6月27日から7月3日まで、毎朝のwiki生成が動いていませんでした。Python の実行環境を切り替えた影響で、エラーを出さずに失敗し続けていたのです。対策は3つです。
- 実行に使う Python を固定した
- 失敗したら Slack へ自動で通知する
- 週1回の点検で、wikiの最新日付が3日以上前なら異常とみなす
この件以来、自動化を作るときは通知と点検をセットにしています。
2. 日次ノートを違う場所に作った 日次ノートは年ごとのフォルダに置く決まりです。2026年8月26日に、年フォルダの外へ6件作っていたことが分かりました。統合したうえで、書き込む前にパスに年フォルダがあるかを確かめる手順を足しました。
Vault に書き込む仕組みが増えるほど、置き場所の決まりを文章で残しておく意味が大きくなります。人が覚えているだけでは、AI には伝わりません。
3. 定時実行が権限確認で止まる macOS では、定時実行から起動したプログラムがデスクトップ配下を触ると、権限確認で止まることがあります。エラーは出ず、待ち続けるだけです。
当社では別の定時ジョブが3週続けて失敗し、原因の特定に時間がかかりました。定時実行ではデスクトップ配下を避け、起動のしかたも分けています。Vault を置く場所を決めるときにも気をつけたい点です。
よくある誤解
SNS で見かける主張には、正しい部分と言い過ぎの部分が混じっています。
「MCP でつなぐだけで、情報が自動で Vault にたまる」 MCP は、AI が外のツールに触るための窓口です。Gmail やカレンダーをつないでも、それだけではノートは増えません。
ためるには、定時実行や hook で「いつ・何を書くか」を別に組む必要があります。MCP を10個並べたある投稿も、当社の点検では、実現できるものと言い過ぎのものが混じっていました。
「スキルを入れれば AI が Vault を整理してくれる」 obsidian-skills は書き方の教科書です。どのフォルダに何を置くか、いつ整理するかは、自分で決めるしかありません。
「Obsidian を開いていないと、AI は Vault を読めない」 直接読み書きなら、アプリを閉じていても読めます。アプリの起動が関わるのは、公式 CLI を使うときです。
「全部を Vault に入れて毎回読ませれば賢くなる」 全部を読ませても賢くはなりません。作業ごとに必要なフォルダだけを読ませるほうが、当社では出力が安定しました。
「Vault は Claude Code 専用になる」 Codex など他の AI とも同じ Vault を共有できます。Vault はただのファイルなので、どの AI からも読めます。
社内では、Codex 用のルールファイル(AGENTS.md)に中身を書き込んでいません。「開始時にこのファイルを読め」という案内だけを置き、元になるファイルを1つに絞っています。こうすると、AI ごとに書いた内容が食い違う心配が減ります。
よくある質問
プログラミングができなくても使えますか 使えます。当社の代表はプログラミングをしない経営者で、この仕組みも AI と相談しながら組みました。
ターミナルに打つのは、インストールと claude の起動くらいです。あとは日本語で頼めば進みます。
メモを読ませて安全ですか。どこまで送られますか AI が開いたファイルの中身と指示の文が、Anthropic へ送られます。Vault 全体が毎回送られるわけではありません。
読ませたくないフォルダは、permissions.deny で読めないようにします。パスワード類は1か所にまとめて外します。
MCP とプラグイン、どちらを使えばよいですか 最初はどちらも要りません。Claude Code は Vault のファイルを直接読めます。画面の中で使いたくなったらプラグイン、外のアプリとつなぎたくなったら MCP を足します。
Obsidian を開いたままにしておく必要はありますか 直接読み書きするだけなら不要です。公式 CLI を使う場合は、アプリが起動している必要があります。閉じていても、最初のコマンドでアプリが立ち上がると公式ヘルプにあります。
Vault が大きいと、遅くなったり料金が高くなったりしますか Claude Code が読むのは、検索で当たったファイルと指示したファイルです。Vault の大きさがそのまま料金に響く仕組みではありません。毎回読まれる CLAUDE.md は短く保つと、読み込みが軽く済みます。
スマホから操作できますか Claude Code は Mac や PC で動かす道具です。スマホで Vault を見るには、Obsidian Sync などの同期を別に用意します。当社では同期せず、外出中はチャットで Mac 側の AI に頼んでいます。
Notion より Obsidian を選ぶ理由は何ですか データが手元のファイルとして残り、Claude Code がそのまま読めるからです。チームで同時に編集する資料は Notion のほうが向きます。社内でも両方を使い分けています。
Codex など他の AI と Vault を共有できますか できます。Vault はただのファイルなので、どの AI からも読めます。各 AI のルールファイルには「このファイルを読め」という案内だけを置き、中身は1か所で管理しています。
AI に任せると、考える力が落ちませんか 判断そのものは、いまも人がしています。AI には、決めたことと理由、選ばなかった案を記録させています。後で読み返せるので、判断をふり返る機会はむしろ増えました。
どこまで自動化し、止まったらどう気づけばよいですか 記録と整理は自動にし、判断は人に残しています。自動の処理には、失敗したら通知が届く仕掛けを付けます。週1回の点検で、最新の日付が古くなっていないかも確かめます。
まとめ
Obsidian と Claude Code はファイルの直接読み書きでつながります。
- 最初は自己紹介ファイル、CLAUDE.md、obsidian-skills の3つを入れます
- 頼み方は短くてかまいません。日次ノートがたまるほど答えが具体的になります
- 記録・wiki生成・判断を3層に分けます
- 人が読むノートと AI の記憶は置き場所を分け、秘密情報は読めない設定にします
- 自動化には、失敗の通知と週1回の点検を付けます
仕組みを作って終わりにすると、7日間止まっていても気づけません。止まったときに知らせる仕掛けまでが、第二の脳の設計です。
社内のナレッジを Obsidian と AI でどう設計するか迷ったときは、当社の構成をもとにお話しできます。必要なときに お問い合わせ からどうぞ。