結論(即答): OpenAI DevDay 2026 で変わった3つのこと
OpenAI は2026年9月29日、開発者会議「DevDay 2026」を開き、25項目の発表をまとめた振り返りを公開しました。公式は「過去最大規模」「20を超える重要な発表」と説明しています。
変わった点は3つです。
- 軸の移動: 本文の最初の見出しは「自ら行動する知能の新時代」です。目標を渡すと自分で仕事を進める常時稼働のエージェント「dots」が中心に置かれました
- 主力モデルの交代: GPT-6.1 Sol は、最上位の GPT-6 Astra に近い性能を5分の1の料金で出すモデルです。API と ChatGPT の有料プランで使えます
- 料金体系の変更: ChatGPT Pro が月100・200・500ドルの3段階になりました。200ドル版の利用枠が縮み、海外の開発者から「実質値上げ」との批判が出ています
エージェントとは、AIが自分で手順を考え、ツールを操作して仕事を進める仕組みのことです。今年の発表の大半は、このエージェントを「どこで動かし、誰がどこまで任せるか」に関わっていました。
発表の全体像: 5つの柱と25項目
公式の振り返りは、5つの見出しの下に25項目を並べています。
| 柱 | 主な発表 | 項目数 |
|---|---|---|
| 自ら行動する知能 | dots、GPT-6.1 Sol、Ultrafast、Private Intelligence | 4 |
| Codex と API | Codex クラウド、Codex CLI、コードレビュー、Codex Security Cloud、Decisions API、Agents API のコンピューター操作、Amazon Bedrock | 7 |
| プラグイン | プラグイン拡張機能、作成・申請の改善、Sites 連携、MCP イベント | 4 |
| 人とAIの協働 | ChatGPT Space、Living Pages、スライド共同編集、チームタスク、Slack・Teams 連携、Meetings、プロフィール | 7 |
| サブスクリプション | ChatGPT でサインイン、Pro 500、OpenAI Marketplace | 3 |
開発者が ChatGPT を通じて届けられる利用者は「合計12億人」とされました。2025年の DevDay では「8億人超」と説明していた数字です。
2025年の DevDay との違い
2025年の目玉は、Apps SDK(ChatGPT の中で動くアプリを作る開発キット)と AgentKit でした。どちらも、開発者が自分でエージェントやアプリを組み立てるための道具です。
2026年は重心が移りました。dots、Agents API、Codex クラウドは、いずれも OpenAI が運用する基盤の上でエージェントを動かします。利用者や開発者は、目標と権限を渡して結果を受け取る立場です。
旧 AgentKit の Agent Builder と Evals は、2026年11月30日で提供を終える予定と告知されています。
日本向けの個別の発表はありませんでした。公式の振り返りにも、日本への言及は見当たりません。
モデルと料金: GPT-6.1 Sol、Astra の見送り、Ultrafast
GPT-6.1 Sol: Astra の5分の1の料金で近い性能
GPT-6.1 Sol は、9月22日に出たばかりの GPT-6 Sol を大きく改良したモデルです。公式は、エージェント型のコーディング、コンピューター操作、専門業務に強いと説明しています。
API の料金は、100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルです。トークンは、AIが文章を処理するときの単位を指します。
キャッシュ入力は0.1ドルで、GPT-6 Sol の半額に下がりました。キャッシュ入力とは、直前と同じ前置き(指示文や資料)を再び送ったときに適用される割引単価です。海外の開発者掲示板 Hacker News では「本当の目玉はキャッシュ入力の値下げだ」という投稿も支持を集めました。
OpenAI は GPT-6.1 Sol の成績として、次の数字を出しています。いずれも OpenAI 自身の計測です。
- コーディングの評価 DeepSWE v1.1 で Astra と同点(費用は約5分の1)
- 業務自動化の評価 AutomationBench で Claude Opus 5.5 を2.2ポイント上回る(費用は約3分の1)
- 推論を軽くした設定で、事実誤りの割合が11.4%から7.7%に下がった
第三者の評価機関 Artificial Analysis の計測でも、総合指標は Astra と1ポイント差でした。1タスクあたりの費用は、Astra の3.26ドルに対して0.72ドルです。
同じ指標の総合1位は、Anthropic の Claude Opus 5.5 のままでした。出力トークン数は GPT-6 Sol より10〜30%増えたとも報告されています。
提供先は API と、ChatGPT の Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu です。ChatGPT の通常のチャット画面では選べず、ChatGPT Work と Codex で使います。Codex CLI では0.159.1から既定のモデルになり、Amazon Bedrock でも提供が始まりました。
GPT-6.1 Astra は公開を見送り
最上位の Astra には新版が出ませんでした。OpenAI は DevDay 前日の9月28日、GPT-6.1 Astra の公開を見送ると明らかにしています。
Washington Post と Axios の報道では、社内試験で基準に届かなかった点は2つです。指示の範囲を超えて行動したこと、そして自分がした行動を正確に伝えなかったことです。理由を説明したのは、OpenAI の安全システム責任者 Saachi Jain 氏と報じられました。
dots に載っているのは、現行の GPT-6 Astra です。常時稼働のエージェントを見送りの翌日に出したことを、Quartz や Axios は対比して伝えています。
Ultrafast: 料金を上乗せして速く動かす特急枠
Ultrafast は、速さを最優先する作業のための上位の速度区分です。生成速度は Codex で最大8倍(毎秒300トークン)、API で最大6倍になると公式は説明しています。
当日から使えるのは GPT-6 Astra Ultrafast です。対象は API と、Pro 500・Enterprise の ChatGPT Work と Codex です。GPT-6.1 Sol 版は「近日」とされました。
API の料金は標準の6倍で、入力60ドル、出力300ドルです。ChatGPT では、含まれる利用枠を標準の8倍の速さで消費します。Pro 100 と Pro 200 は、クレジットを追加購入しても Ultrafast を使えません。
API 料金表(100万トークンあたり)
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| GPT-6 Astra | 10ドル | 1ドル | 50ドル | 最上位 |
| GPT-6 Astra Ultrafast | 60ドル | 6ドル | 300ドル | 標準の6倍 |
| GPT-6.1 Sol | 2ドル | 0.1ドル | 10ドル | 新しい主力 |
| GPT-6 Sol | 2ドル | 0.2ドル | 10ドル | 9月22日公開の前版 |
| GPT-6 Luna | 0.1ドル | 0.01ドル | 0.5ドル | 大量処理向け |
| GPT-5.6 Sol | 4ドル | 0.4ドル | 20ドル | キャンペーン価格(少なくとも11月21日まで) |
| GPT-5.5 | 5ドル | 0.5ドル | 30ドル | 旧世代 |
入力が27.2万トークンを超えると、入力は2倍、出力は1.5倍の単価です。Batch と Flex は半額、Fast モード(旧 Priority 処理)は2倍で、データの処理地域を指定すると10%上乗せされます。キャッシュへの書き込みは入力単価の1.25倍です。
GPT-5.5 は10月14日に ChatGPT から引退
GPT-5.5 は2026年10月14日、ChatGPT、ChatGPT Work、Codex の全プランから外れます。API では引き続き使えます。社内の手順書やプロンプトで GPT-5.5 を指定している場合は、この日までに切り替え先を決めておく必要があります。
dots と Private Intelligence: 常時稼働エージェントの中身
dots: 専用のクラウドPCを持つAIの同僚
dots(1体は dot)は、継続的な役割を任せる常時稼働のエージェントです。搭載モデルは GPT-6 Astra で、1体ごとに専用のクラウド上のコンピューターを持ちます。利用者が接続したアプリを横断して作業します。
使い方は、目標を伝え、自律的にやってよい範囲を決めるところから始まります。あとは dot が自分で仕事を進めます。
公式ヘルプで確認できた仕様です。
- 連携できるアプリは4,000超。ChatGPT のデスクトップ・ウェブ・モバイル、Slack、Teams から話しかけられ、音声通話もできます
- 1体目はプラン料金に含まれ、追加料金はかかりません。発売から1か月は利用枠を広げています
- dot との会話は ChatGPT の使用枠に数えません。Codex や ChatGPT Work でのタスクは数えます
- 作成はデスクトップアプリだけで、モバイルからは作れません
- 自分のPCへの接続は任意で、初期設定はオフです
承認のルールは4段階から選べます。「自動で実行」「事前に承認した内容なら実行」「毎回確認」「本人に渡す」の4つです。パスワード変更のような操作は、常に本人が行います。
気をつけたい仕様もあります。dot の記憶は個別に消せず、消すには dot ごと削除します。個人プランでは学習への利用を設定で止められ、法人プランは初めから学習に使わない扱いです。
gihyo.jp は、dots が頼まれていない調査を自発的に行い、メモに蓄える機能を紹介しました。
対象プランは Pro、Business Premium、Enterprise です。Enterprise は管理者が有効化するベータで、初期設定はオフです。Free、Go、Plus、Business Standard では使えません。
Pro 版の提供地域からは、欧州経済領域(EEA)、スイス、英国が当面外れています。日本は除外リストにないため、提供対象と読めます。SMS でのやり取りは米国の Pro だけです。
評価は割れました。Engadget は「磨かれているが魂がない」と書き、会場ではライブデモが止まる場面もありました。
Simon Willison 氏や Axios は、Meta の Muse との類似を指摘しています。性能の評価は、今のところ OpenAI 自身の発表が中心です。
Private Intelligence: データを残さずに使う企業向けの仕組み
Private Intelligence は、機密データを扱う企業向けの2つの仕組みを合わせたものです。
1つ目は、Private Safety Processing 付きのゼロデータ保持です。ゼロデータ保持は、OpenAI が顧客の入力や出力を保存しない契約形態を指します。新しい仕組みでは、安全審査の対象になる記録を顧客自身のクラウド保存領域(例: AWS S3)に二重に暗号化して置きます。
そのうえで、人が触れない環境で自動で審査します。プロジェクト単位で有効にでき、対象はゼロデータ保持の承認を受けた組織です。
2つ目は、Private Inference のプレビューです。コンフィデンシャルコンピューティング(処理中のデータも暗号化で守る技術)と、検証可能な制御を組み合わせます。
プレビューは「今秋」との情報もありますが、出どころはコミュニティのまとめです。料金も公表されていません。
調査会社 Greyhound のアナリストは「生データをどこまで持つかの違いで、シグナルは結局保持する」と評したと伝えられています。大企業向けの機能で、中小企業がすぐに使うものではありません。
Codex と API: 開発者向けの7つの発表
Codex は、OpenAI のコーディング用エージェントです。今回の発表は「PCを閉じても作業が続く」方向にそろっています。
Codex クラウド
自分のPC、スマートフォンからの遠隔操作、クラウドのどこでも Codex を動かせます。タスクごとに独立した作業場所があり、PCがスリープ中も作業は止まりません。
チームで、承認済みの設定と権限を持つ共通の環境を使えます。GitHub のリポジトリを接続して使い、Business では大きめの仮想マシンが割り当てられます。
刷新された Codex CLI
CLI は、ターミナル(黒い画面)で使う版です。音声で話しかけて指示でき、新しい /agents 画面で複数のエージェントの進み具合を一覧できます。worktree(同じリポジトリの作業場所を複数並べる仕組み)にも対応しました。
0.159.0 では、回答の生成中に新しい指示で割り込む機能も入り、最新版は0.159.2です。
コードレビュー
ChatGPT のデスクトップアプリで、複数プロジェクトの差分を確認し、気になる点を Codex に質問できます。不在の間も、クラウドで初回のレビューが進みます。
GitHub のプルリクエスト(変更の取り込み依頼)は一般提供、GitLab のマージリクエストはプレビューです。API キーでの利用では、クラウド側のレビュー機能は使えません。
Codex Security Cloud
プログラムの脆弱性(セキュリティ上の穴)を見張る機能です。新しいコミットを継続的に確認し、リポジトリ全体も必要なときや決めた日程でスキャンします。
見つかった問題は「Fix with Codex」で修正案にでき、下書きのプルリクエストまで作れます。対象はすべての Codex 利用者で、提供形式はプラグインです。OpenAI のサイバー防御の枠組み Daybreak のモデルも、別途の申請なしで使えます。
Decisions API
選択肢が決まった質問に、軽量モデル GPT-6 Luna を特化させて即答させる API です。問い合わせの分類、リクエストの振り分け、エージェントが次に取る行動の選択に使います。
公開動画では、1回150ミリ秒(通常は1.6秒)と紹介されました。当日は限定プレビューで、数日以内に広く公開する予定です。Hacker News では「はい・いいえで答える判定の需要を裏付けた」と評価する声がありました。
Agents API のコンピューター操作
Agents API は、Codex を動かしている周辺の制御部分(ハーネス)を、OpenAI が運用するサービスとして使える API です。この API 自体の公開ベータは、9月10日に始まっています。DevDay で加わったのは、コンピューター操作への対応です。
AIは、OpenAI が管理するブラウザを実際に操作します。サイトへのアクセスの承認とログインは、開発者の側で扱います。
追加料金はなく、かかるのはトークン代とツール代だけです。実行環境は OpenAI 管理のほか、自社環境や Cloudflare、Vercel などの提携先も選べます。
Amazon Bedrock Managed Agents for OpenAI
Agents API を、顧客の AWS 環境と AWS の各サービスにつないで動かす仕組みです。AWS 側はプレビューと表記しています。GPT-6.1 Sol、GPT-6 Sol、GPT-6 Luna の各モデルは、Bedrock で一般提供されています。
プラグイン・Sites・MCP イベント: ChatGPT の中に届ける仕組み
プラグインは、外部のサービスを ChatGPT の中で使えるようにする拡張です。2025年の「ChatGPT のアプリ」(Apps SDK)の流れを継ぐものと当社は見ています(推測)。
プラグイン拡張機能
開発者は、ChatGPT のサイドバーの専用枠、会話の横に出る操作パネル、ファイルのビューアーを作れるようになりました。OpenAI が自社機能の開発に使っている基盤を開放した形です。対象は全プランで、ウェブ版の Free と Go だけは「近日」対応です。
作成・申請・検索の改善
Plugin Creator という開発支援の機能が加わりました。申請は ZIP ファイルでアップロードし、自動チェックの後に審査へ進みます。公開には、個人か法人の本人確認が必要です。
ディレクトリや会話内でのおすすめ表示も改善されます。どれを使い、どの権限を許すかは、引き続き利用者が選びます。
Engadget は、プラグインの自動推薦が検索や通販サイトのスポンサー枠に似てくると懸念を示しました。
Sites とプラグインの連携
Sites は、ChatGPT で作れるウェブサイトです。Sites にプラグインを組み込むと、ワークスペースのメンバーが各自の権限とデータで同じアプリを使えます。対象は Business、Enterprise、Healthcare、Education です。
Sites 自体は、Plus・Pro・ワークスペース向けの公開ベータです。
MCP イベント
MCP(Model Context Protocol)は、AIが外部のツールとやり取りするための共通規格です。OpenAI は、提案段階にある「MCP Events」仕様への対応を加えました。接続先のアプリで何かが起きたとき、プラグインが自動で処理を始められます。
公式の例では、プロジェクトボードに新しいタスクが入ると、ChatGPT がリンク先の資料を読んで計画の下書きを作ります。利用者が席を外していても動く設計です。
ただし MCP 側ではまだ作業部会の段階で、仕様は固まっていません。作業部会の代表は AWS と Anthropic の担当者です。
協働機能: ChatGPT Space とチームで使う7つの機能
ChatGPT Space
AIとチームで仕事を進める拠点です。旧「Library」を改名したもので、チームを追加すると、全員と ChatGPT が共通の目標や過去の作業を踏まえて作業できます。
会話をページやスライドにまとめるよう頼むと、先に確認の質問をしてから下書きを作ります。Pro、Business、Enterprise のデスクトップとウェブで使え、モバイルは今のところ閲覧と共有だけです。
Living Pages
エージェントとチームが一緒に編集する、新しい種類の文書です。グラフ、ダッシュボード、画像を入れられ、接続したツールの情報で自動更新する設定もできます。最新の作業状況を反映する ToDo リストや、製品チームの状況表が例に挙がっています。
スライドの共同編集
チームと ChatGPT で資料を作るプレゼン編集の機能です。同時編集、コメント、注釈に対応し、ChatGPT から直接発表もできます。PowerPoint や Google スライドへは、書式を保ったまま書き出せます。
チームの作成とタスクの共有
同僚をチームに追加し、定期業務を「チームタスク」として任せられます。毎週の状況報告のような仕事を、決めた日程か、メール・Slack の新着をきっかけに動かします。
指示はメンバー全員で更新できます。対象は Business と Enterprise です。
Slack と Microsoft Teams の @ChatGPT
チャンネルやスレッド、DM で @ChatGPT と呼ぶと、議論の要約やバグの調査を頼めます。個別の ChatGPT ライセンスを持たないメンバーも、同じ会話に加われます。接続したツールで操作する前には承認を求め、監査ログも残ります。
Meetings プラグイン
会議を録音し、要点・決定事項・次の一手をまとめて Space に保存します。会議にボットは参加せず、マイクとPCの音声を取り込む方式です。
アプリは相手に通知しないため、参加者の同意は自分で取る必要があります。メモの完成後に音声は削除されます。
今は macOS のデスクトップアプリだけで、Pro と Business 向けのベータです。Enterprise は近日対応とされています。
共有可能なプロフィール
作った Sites やプラグインを、1か所で紹介できるページです。チームで共有したスキルも見つけられます。スキルの共有範囲はワークスペース内に限られます。
サブスクリプション: Sign in with ChatGPT と Pro 3段階
反応が最も集まったのは、このサブスクリプションの発表です。
ChatGPT でサインイン: 利用者の枠で他社アプリが動く
表向きは「Google でログイン」の ChatGPT 版です。相手のサービスに渡るのは名前、メールアドレス、プロフィール写真だけで、会話やメモリは共有されません。
影響が大きいのは、もう一つの機能です。Plus と Pro の利用者は、自分の ChatGPT の利用枠を提携先アプリのAI処理に使わせられます。API キーは要らず、アプリごとに週の上限を割合で決められます。
上限に達しても自動の追加課金には切り替わらないと、The New Stack は伝えています。
枠を使える提携先には、Notion、Vercel、Devin、Warp などが並びます。Lovable も近日対応の予定です。
ログインだけの提携先には、Canva、HubSpot、Supabase などがあります。開発者の受け付けは申請制で、提携先はまだ限られています。
開発者の側から見ると、利用者のAI代を肩代わりせずにアプリを出せます。Sam Altman 氏は、開発者が利用者のトークン代を負担しなくてよいと述べました。Simon Willison 氏は「何年も待っていた」と歓迎しています。
その一方で、ID、アプリの発見、AIの計算が OpenAI に集まり、他社へ移りにくくなるという指摘も出ました。
Pro は100・200・500ドルの3段階に
Pro プランは、月100ドル、200ドル、500ドルの3段階になりました。500ドル版には、最も高い利用上限と Astra Ultrafast が付きます。Impress Watch の換算では月約8.4万円です。公式ヘルプによると、年払いはありません。
| プラン | 月額 | dots | Ultrafast | Space |
|---|---|---|---|---|
| Free / Go | 0ドル / 8ドル | × | × | × |
| Plus | 20ドル | × | × | × |
| Pro 100 | 100ドル | ○ | × | ○ |
| Pro 200 | 200ドル | ○ | × | ○ |
| Pro 500 | 500ドル | ○ | ○ | ○ |
| Business Standard | 1人20ドル(年払い)、2席から | × | × | ○ |
| Business Premium | 1人100ドル(年払い) | ○ | × | ○ |
| Enterprise | 個別見積もり | ベータ(管理者が有効化) | ○(ChatGPT Work と Codex) | ○ |
| Edu | 個別見積もり | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
Pro 200 は新規受付を再開しましたが、新規契約の利用枠は以前より小さくなりました。既存の契約者は、10月29日まで旧来の枠を維持します。Business Premium は Standard の5倍の枠で、5時間ごとの利用制限もありません。
「実質値上げ」の議論
Hacker News の Pro 500 のスレッド(213ポイント、252コメント)では、批判が多数を占めました。利用者の試算では、Pro 200 の枠は Plus の20倍から10倍に下がり、Pro 500 は25倍です。
Business Insider も、GPT-6 Pro の週あたりの利用回数が200回から100回に減ったと報じました。なお、Plus との倍率は公式ヘルプに書かれていません。
X では、Codex 責任者の Thibault Sottiaux 氏が新しい Pro 200 を「API 換算で旧版の半額相当」と説明した、と集計記事が伝えています(元の投稿は当社で未確認)。Qiita の集計記事によると、解約や乗り換えを宣言した投稿13件のうち7件が移行先に Claude を挙げました。これは宣言の件数で、実際の解約数ではありません。
擁護の声もあります。200ドル版を複数契約していた人は、500ドル版1本にまとめられます。dot との会話が枠に数えられない点も、重い利用者にとっては差を縮める材料です。
OpenAI Marketplace
大企業向けに、OpenAI との既存の契約額の一部を、承認済みパートナーのソフトに充てられる仕組みです。最初の32社には、Adobe、Figma、Salesforce、HubSpot、CrowdStrike などが入っています。現在はベータです。
日本で今すぐ使えるもの・使えないもの
日本向けの個別の発表はありません。表は、公式ヘルプとドキュメントにある地域の記載をまとめたものです。
| 機能 | 日本での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| GPT-6.1 Sol(API) | 使える | 日本は API 対応国 |
| Agents API | 使える | 同上 |
| Decisions API | 未確認(限定プレビュー中) | 地域の記載なし |
| dots(Pro) | 対象と読める | 除外は EEA・スイス・英国のみ |
| dots(Business Premium) | 使える | ChatGPT 対応の全地域 |
| dots の SMS 連携 | 使えない | 米国の Pro のみ |
| Ultrafast | 条件付き | 米国外での処理を義務づけたワークスペースは対象外 |
| ChatGPT でサインイン | 使える | 世界中で提供 |
| Space・Codex クラウド・Meetings・Sites | 地域の記載なし | 各公式ページ |
注意が要るのは Ultrafast です。処理は米国内かグローバルのどちらかで行われます。米国外での処理を義務づけたワークスペースでは使えません。
月20ドルの Plus でも、Codex クラウドと GPT-6.1 Sol は試せます。dots を試すには、Pro 100 以上か Business Premium の契約が必要です。
中小企業・マーケ担当への実務的な示唆
発表を中小企業の実務に当てはめると、手を打っておきたい点が4つあります。
1. AI検索への対策(LLMO)を、エージェントが読む前提に広げる
LLMO は、ChatGPT などのAIの回答に自社の情報が正しく出るようにする対策です。これまでの対象は、利用者が質問したときの回答でした。
dots は、頼まれていない調査も自発的に行います。今後は、エージェントが自社のページを読み、他社と比べ、行動の材料にする場面が増えると当社は見ています(推測)。料金、対応地域、手順、問い合わせの条件は、表や箇条書きで機械が読み取りやすい形にそろえておくと、読み違いを減らせます。
2. AIが操作できるページかを確かめる
Agents API のコンピューター操作では、AIが実際のブラウザでページを操作します。予約フォームや資料請求の画面が、人にしか分からない作りになっていないか、見直す対象になります。ボタンの名前、入力欄のラベル、エラー時の説明が明確なら、人にもAIにも使いやすくなります。
3. 顧客の ChatGPT 枠で動くツールの型を検討する
Sign in with ChatGPT の枠共有は、提携先が限られた状態で始まりました。それでも、社内ツールや顧客向けツールを作る側にとっては選択肢が増えます。
受講者や顧客が自分の ChatGPT プランでAIを動かせば、提供側はAI代を抱えずに済みます。その分、提供側の事業が OpenAI の方針変更に左右されやすくなる点は、先に織り込んでおく必要があります。
4. エージェントに権限を渡す前に、承認と上限を決める
dots、チームタスク、@ChatGPT は、接続したツールで実際に操作します。導入前に決めておきたいのは次の3点です。
- どの操作を自動で許し、どの操作に毎回の承認を求めるか(dots の4段階の承認ルールを使う)
- 接続するアプリとアカウントの範囲(最初は閲覧だけの権限から始める)
- 週ごとの利用上限と、実行記録を誰が確認するか
GPT-6.1 Astra は、指示の範囲を超えた行動を理由に公開が見送られました。この経緯を踏まえると、承認の設計は導入の最初に済ませておくのが安全です。
注意点・未確認事項と出典
公式の振り返りと個別ドキュメントの食い違い
調べた範囲で、公式の振り返り本文と個別のドキュメントの記載が合わない点が4つありました。
- Ultrafast の API での速度: 本文は「API で最大6倍」、API ドキュメントの英語版の見出しは「標準の最大8倍」です
- Codex クラウドの対象プラン: 本文は Plus 以上を列挙した直後に「すべてのプランで利用できます」とも書いています。料金ページでは、Free と Go の特典にクラウドの記載がありません
- スライドの共同編集の提供時期: 本文は提供済みの書き方ですが、Space の機能ページでは「近日」です
- Pro の段階: 本文は200ドル版と500ドル版だけを書き、ヘルプでは100ドル版を含む3段階が確認できます
このほか @ChatGPT の対象は、本文が Business と Enterprise、機能ページは Edu も含めています。
未公表・未確認の項目
- Decisions API の料金と利用上限(未公表)
- Private Intelligence の料金と、Private Inference の提供時期(公式は未公表。「今秋」はコミュニティまとめの情報)
- Amazon Bedrock Managed Agents の料金と対応リージョン(未確認)
- チームタスクの料金と上限(未公表)
- Pro 各段階の利用枠の具体的な数値と、Plus との倍率(未公表)
- OpenAI Marketplace の32社の全リスト(個別ページを確認できず)
- 基調講演で発表されたとされる全世界の使用量リセット(公式ページで未確認)
- Space、Codex クラウド、Meetings、Sites の提供地域(記載なし)
ベンチマークの数値は OpenAI の自社発表です。反応の件数や倍率は、集計記事と掲示板への投稿によります。
出典(OpenAI 公式)
- 全体: DevDay 2026 の振り返り、API 変更履歴、Codex 変更履歴
- dots: Introducing dots、ヘルプ(提供地域・仕様)
- GPT-6.1 Sol: Introducing GPT-6.1 Sol、モデルページ
- API 料金: Pricing
- Ultrafast: Ultrafast mode、ChatGPT の速度設定
- Private Intelligence: Private Safety Processing
- Codex クラウド: Cloud、Codex の料金
- Codex CLI: Codex CLI
- コードレビュー: Code review
- Codex Security Cloud: Security setup、Daybreak
- Agents API: Introducing the Agents API、Computer use
- Amazon Bedrock: Bedrock Managed Agents for OpenAI(AWS)
- プラグイン: Extensions、Submission
- Sites: ヘルプ
- MCP イベント: Triggers and Events 作業部会
- ChatGPT Space・Living Pages: Space
- Slack・Teams: ChatGPT in Slack and Teams
- Meetings: The Meetings plugin
- ChatGPT でサインイン: ヘルプ、開発者向け
- Pro の段階: About ChatGPT Pro tiers、料金ページ
- GPT-5.5 の引退: Codex models
- 2025年の発表: Introducing apps in ChatGPT、Introducing AgentKit
出典(報道・第三者)
- Axios: OpenAI Dev Day 2026
- Engadget: ライブブログ
- Business Insider: Pro 500 の料金と枠
- TechCrunch: Codex のクラウド環境
- The New Stack: Sign in with ChatGPT
- Quartz: DevDay と安全性
- Simon Willison: ライブブログ
- Hacker News: GPT 6.1 Sol のスレッド、ChatGPT Pro 500 のスレッド
- ITmedia NEWS: 発表まとめ
- Impress Watch: Pro プランと Sign in with ChatGPT
- Zenn(schroneko): DevDay 2026 まとめ
- Qiita(hisashi-ito): X の反応の集計
- Washington Post: OpenAI cancels new AI launch, citing safety issues(GPT-6.1 Astra の公開見送り)
- Artificial Analysis: GPT-6.1 Sol replaces GPT-6 Sol after just 7 days(GPT-6.1 Sol の計測)
- gihyo.jp: OpenAI、ChatGPT Space と dots を発表(dots の自発的な調査)
AI エージェントの導入設計や、AI 検索に読まれるページづくり(LLMO 対策)のご相談は、お問い合わせからどうぞ。